心に効く庭のデザイン―1

入居者の家族や、入居希望の見学者が訪問され、緑や花のある庭を最初に見た時の、「わ~素敵ね。」という声をよく耳にします。
緑の植物や花が傍に有るだけで、心地よく過ごせた経験を持っている方も、多いかと思います。実は、緑の心と体に対する効果は、1984年の米国の病院での研究で実証されています。その研究によると、窓から木々の緑が見える病室の患者さんと、窓から壁しか見えない病室の患者さんでは、鎮痛剤の使用量が異なり、緑の見える病室の患者さんの方が鎮痛剤使用量が少なかったという事です。当たり前の事かもしれませんが、緑には自然治癒力を手助けする効果が有ると考えられます。
では、高齢者の介護施設にふさわしい、心に効く、効用のある庭や植物とはどの様ものでしょう。私共は、ヒアリング・アンケートによる調査を行い、高齢者・家族・介護スタッフの心に求められた、庭を明らかにしています。リサーチをまとめた、定性的構造評価モデルはマーケティングで使われる手法により作成しています。このモデルでは左側に行くほど、心が求める「想い」を記し、右側に行くほど具体的な「コト・モノ」を表します。高齢者施設の観賞する庭には、「変化」「刺激」「安心」「生きがい」「楽しい」などの心理的効果「想い」が期待され、具体的な「コト・モノ」としては、「四季の植栽」「自然の音」「香り」「緑」「眺め」などが表されています。
庭に求められる「想い」心理的効果は、5感(色・香り・音・味・触感)で感じ刺激する事で満たされます。目の弱くなりがちな高齢者は、臭覚や聴覚・触覚など、その他の感覚に頼る事になります。視覚自体も識別し易い、色鮮やかな植栽が喜ばれます。
「変化」や「刺激」は何処で感じるのでしょう。「四季の移り変わり」は入居者に、最も喜ばれる変化です。四季を感じる鮮やかな色をつける植栽、桜の花から、夏の百日紅、秋の紅葉・黄葉に、冬の椿の花まで、四季折々の自然の色の変化が楽しめます。そして今の季節は、金木犀の香り。香りの変化を高齢者は、より敏感に感じ取り、季節を香りで味わいます。また、ハーブなど、リラックス効果の有る香りも、女性には特に喜ばれます。
(高齢者住宅新聞 庭で入居者満足度向上 第2回コラム より 小木野貴光 著)
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