リハビリテーションと庭ー2

安心安全と管理
素晴らしい庭は、安全で有る事も大切です。
大きな段差よりちょっとした段差の方が危険です。
意図した勾配の散策路なら良いのですが、
雨水をテラスに貯めない為のちょっとした勾配ですら、
車椅子は動いてしまうので要注意です。
池や川など、水のある場所には、落下防止の柵が必要です。
建物内を掃除するのと同じく、庭も維持管理を行わなくてはなりません。
そこで、日々手入れをする草花の範囲と、
造園業者さんに手を入れて貰う範囲を明確にし、
日々自ら手を入れる花壇などは、限定した植え込みとします。
また、草花も1年草では無く、多年草など、
手が掛りづらい花を効果的に植えると管理の負担が軽減されます。
相乗効果による入居者増の期待
最後に、庭を整備する事での相乗効果をもう一度、まとめたいと思います。庭が美しく設けられている事は、入居者だけで無く、
家族や介護スタッフの心にも影響し、
潤いや心の余裕を生む事を以前お話しました。
精神的な余裕は、心のこもった介護に繋がり入居者さんに喜ばれます。
入居者の笑顔は家族の喜びとなり、
良い評判が潜在的な入居見込者の家族に伝わります。
入居見学に来られた時にも、心に潤いと喜びの有る、
入居者と介護スタッフを見、他の施設に無い綺麗な庭を見る事で、
付加価値を訴え掛ける大きな力となります。(図参照)
介護施設差別化研究という事で、まだ試みられた事例の少ない庭について、
私が設計に携わり調査を踏まえた経験を元に、ここまで記させて戴きました。
ちょっとした差異は大きな差別化に繋がります。
しかし、効果的に差異をつくる整備をしなければ、効用半減、
宝の持ち腐れになってしまいます。
庭の設計方法によって最大限の成果が出る整備手法を記して来たつもりです。
私も日々、高齢者施設のデザイン・設計に尽力している毎日です。
少しでも、お役に立てたのなら嬉しい限りです。
(高齢者住宅新聞 庭で入居者満足度向上 第4回コラム より 小木野貴光 著)
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